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2005.09.05

老ヴォールの惑星

老ヴォールの惑星
小川 一水

文庫(2005-08-09)
早川書房

 昨年『復活の地 』を読んでからずっとこの作家さんを追いかけています。
 この人に関しては、新作にハズレがない、期待を裏切らない作品を出してきてくれる作家さん、という評価をしています。

 初の中編集は期待どおりでした。
 この作家らしさが一番出ていたのは、閉じられた環境での社会構築を描いた「ギャルナフカの迷宮」だろうと思います。理想論っぽくて青い、という感想も成り立ちますが、理想を書く人ってあまりいないので、良い意味で貴重だと思うのですがどうでしょう。
 この作家のこれからが一番出ていたのは、書き下ろしの「漂った男」かな、と。ちょっと構成が甘いかな、と思う部分もありますが、私が個人的に一番気に入ったのはこの作品でした。
 表題作の「老ヴォールの惑星」はラストが切なくもあたたかいです。
 この人の作品にはあたたかい視線が基底に流れているのですが、「幸せになる箱庭」はちょっと毛色が違う気もしました。でもこういう系統の作品ももっと読んでみたいかも。


 この人の作品を読んでいると、また仕事ぶりを見ていると、希望が湧いて来るというか「よーし自分も頑張るぞー」という気持ちになります。とくに『復活の地』と『第六大陸』『回転翼の天使―ジュエルボックス・ナビゲイター』あたりでは、人間の持つ力を信じさせてもらえます。そういう物語を書く作家さんなんだと思います。これからも信じさせてもらいたいです。はい。

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